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宇宙線検出器ver.2

宇宙線を1粒子ずつ数える検出器のver.2です。シンチレータの光をSiPMで読み取り、波高・時刻・気圧を記録します。シンチレータは、宇宙線向けのプラスチックと、ガンマ線スペクトル向けのCsIから選べます(組み立て済み)。
詳しい情報:https://accel-kitchen.com/detector/
¥65,000 ($411.78)税込
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About this work

この作品について

🧪 宇宙線検出器ver.2

宇宙線を1粒子ずつ数える、手のひらサイズの検出器です。
宇宙線が大気の上で作るミューオンなどの粒子は、地上にも毎分1cm²あたり約1個降り注いでいます。シンチレータで光に変え、SiPMで電気パルスにし、Arduino Nano ESP32が波高(粒子が落としたエネルギーの目安)を読み取って記録します。
測定アプリはブラウザで動き、ケースと基板は公開されています。富士山の登山や飛行機での計数率の変化、校舎の階ごとの違いなど、身近な場所で宇宙線を調べられます。
詳しい解説・測定例は、こちらのページをご覧ください。
https://accel-kitchen.com/detector/

✨ 特徴

シンチレータを選べる:プラスチック(5×5×1cm)か、CsI(1cm立方)を選択
いろいろ記録:計数率・総カウント・波高ヒストグラム・マイクロ秒の時刻・温度・湿度・気圧を、USB・Bluetooth・microSDに同時に出力
ブラウザで測定:Chrome/EdgeでUSBまたはBluetoothに接続し、リアルタイムでグラフ表示。インストール不要
最大4台で同時計測:3.5mmジャックでつなぎ、同時に反応した粒子を選べます
持ち出せる:USB-C 5Vで動き、モバイルバッテリーでも使えます(飛行機の機内でも測定した実績があります)
組み立て済みでお届け:届いたらすぐ測り始められます

🔬 シンチレータは2種類から選べます

基板もケースも同じで、光を出す部分だけが違います。広く集めたいか、小さく持ち運びたいかで選べます。

【プラスチックシンチレータ版】5cm × 5cm × 1cm
板のように広い形です。受ける面積が25cm²あるので、宇宙線にたくさん当たります。短い時間でも数が集まり、計数率の変化を追いたいときや、2台を重ねたコインシデンスに向きます。
取れるスペクトル:光の弱い側にガンマ線(身のまわりの放射線)、強い側に宇宙線の山が出ます。宇宙線だけを選んで数えられます。

【CsIシンチレータ版】1cm立方
サイコロのように小さな形です。コンパクトで、持ち運びや狭い場所への設置に向きます。受ける面積が小さいぶん、数えられる宇宙線の数は少なめです。
取れるスペクトル(花崗岩を測定):ガンマ線のエネルギーごとに山が立ちます。花崗岩にふくまれるウランやトリウムが崩れていく途中でできるPb-214、Tl-208、Ac-228が出したガンマ線が、山の位置から読み取れます。

どちらも、宇宙線が通ると光り、その光をSiPMが電気のパルスに変えるしくみは同じです。横軸は光の強さ(=落としたエネルギー)、縦軸は数えた回数です。計数率はシンチレータの面積にほぼ比例します(海抜0mで1cm²あたり毎分およそ1個が目安)。

⚙️ 宇宙線を数えるしくみ

① 通過:一次宇宙線(主に陽子)が大気の上のほうで原子核とぶつかり、粒子のシャワーをつくります。地上に届くのはほとんどがミューオンで、海抜0mで1cm²あたり毎分およそ1個です。
② 発光:ミューオンはシンチレータを通るあいだにエネルギーを落とし、その一部が光になります。プラスチックなら1cmで約2MeV(青い光)、CsIなら1cmで約5〜6MeVです。
③ SiPM:35µmのマイクロセルが18,980個並んだSiPMで、光子が当たったセルでなだれ増倍が起きます。
④ パルス:電圧に変わり、数百nsの速いパルスになります。
⑤ 増幅・ホールド:×5〜×45に増幅し、ピークホールドが山の高さをためます。電圧がしきい値を超えたら、イベントとして読み取ります。
⑥ 記録:トリガーの約60µs後に12bitで波高を読み、時刻・環境値と一緒に1行で記録します。

🔧 検出器の中身

光を受ける:SiPM(onsemi MICROFC-60035、6×6mm)は40mm角の子基板にのっていて、子基板ごと差し替えられます
バイアス:LT3461がUSBの5Vから29.0Vを昇圧して供給
増幅:LT1807。ゲインは裏面のトリマで×5〜×45に調整
ピークホールド:数百nsのパルスの山の高さをコンデンサにため、マイコンが読むと放電
読み取り:Arduino Nano ESP32(ESP32-S3、BLE対応)。しきい値は起動のたびにノイズを1秒測って自動調整
記録:microSD(FAT32)に1行ごとに確定して保存。USBを抜いても失うのは最後の1行程度
環境センサ:BME280で温度・湿度・気圧を2秒ごとに記録。気圧が上がると計数率が下がる「気圧効果」も調べられます
表示・通知:0.96インチOLED、イベントごとに光るLED、波高に応じた高さで鳴るブザー。振動モーターは後付けできます
外部接続:3.5mmジャック4つ(OUT×1、IN×3)
ケース:3Dプリントの2ピース構成(M2ねじ4本)、86×75×61.4mm

🤝 重ねると、望遠鏡になる

ミューオンは光速近くで飛ぶので、上下に重ねた2台をほぼ同時に通ります。SiPMのノイズや環境放射線は1台だけで起きることがほとんど。「両方がほぼ同時に反応した」イベントだけを選べば、ミューオンをより確実に選べます。間隔を広げるほど、真上から来たものだけが残ります。最大4台まで、3.5mmジャックでつないで同時計測できます(同時の窓は約±50µs)。

🌏 持ち出すと見えてくる宇宙線

宇宙線の数は、場所や高さ、そして太陽の活動で変わります。実際に測ったデータの例です。

【富士山で測る】
登りながら1分ごとの計数を記録。高いところほど大気が薄く、宇宙線が多く届きます。ふもとで毎分7回ほどだったのが、山頂近くでは20回ほどに増えました(1泊2日の登山で測定)。

【飛行機で測る】
モバイルバッテリーで動くので、機内に持ち込んで測れます。地上では毎分45回ほどが、高度10km付近では400回ほどに。空の上では、地上の9倍ほどの宇宙線が降っています(離陸から着陸まで、約90分の記録)。

【フォーブッシュ効果を見る】
太陽が大きな爆発を起こすと、地球に届く宇宙線が一時的に減ることがあります。学校に置いた検出器は、太陽から粒子が届いた直後に、毎秒29.5回ほどから28.3回ほどへの減少をとらえました(上:太陽から届いた粒子(人工衛星GOES)、下:学校で数えた宇宙線)。

【宇宙線で、天井の厚みをはかる】
宇宙線はコンクリートを少しずつ通り抜けながら弱まります。校舎の階ごとに測ると、上の階ほど数が増え、1階の約3.5回/分に対して屋上では約5.4回/分でした。頭の上の天井や床が少ないほど、たくさん届くからです。この差から、壁や天井の厚みを調べられます。

グラフは実際の測定例です。検出器の種類や大きさによって、数えられる数は変わります。

💻 ブラウザだけで、計測から解析まで

インストールは要りません。ChromeかEdgeで測定用のコンソールアプリを開き、USB(Web Serial)かBluetooth(Web Bluetooth)でつなぐだけです。
USBとBluetooth:同じコマンドと応答で動き、Bluetoothは切れても自動でつなぎ直します
自動保存:フォルダを選ぶと、届いたデータを.dat・.csvで書き続けます。日付が変わるとファイルも分かれます
ヒストグラムと計数率:波高の分布、計数率の推移、温度・湿度・気圧の統計。計数率はデッドタイムを引いて計算します
オシロスコープ:A0を83.3kHz(12µsごと)に読み、イベントごとの波形を161点で表示(表示中は計数が止まります)
しきい値と機能:しきい値(起動時の自動調整つき)、microSD・外部検出器・OLED・ブザー・振動の入り切りをボタンで
サーバーへ送信:測定サーバーへリアルタイムにアップロード。複数地点の比較に。日本語と英語の表示を切り替えられます

ほかのツール
解析:保存した.dat・.csv・microSDのログを読み込んで、ADCヒストグラム・天頂角分布・エネルギー校正
マニュアル:コンソールの画面の流れに沿った説明。画面写真と図つき
波形ビューア:波形ファームと組み合わせて、ピークホールドの波形とベースラインのノイズを見る
パルスの解析:アナログ前段の時定数・飽和・ピークホールドの取りこぼしを、計算と実測で調べた報告
アプリの画面や使い方は、こちらのページで確認できます。
https://accel-kitchen.com/detector/

📊 宇宙線が来るたびに、まわりの様子も一緒に残す

1個検出するごとに1行の記録ができます。半角スペース区切りの文字なので、表計算ソフトでもPythonでもそのまま開けます。
粒子の大きさ:通った粒子がどれだけエネルギーを落としたか。ヒストグラムにすると、宇宙線ごとの山が見えます
いつ来たか:起動からの時刻をマイクロ秒単位で。計数率の変化も、1個ごとの間隔も追えます
温度・湿度・気圧:1イベントごとにその場の環境を記録。「気圧効果」を自分のデータで確かめられます
ほかの検出器も反応したか:つないだ検出器(最大3台)が同時に反応したかどうかが、イベントごとに残ります
ほかの検出器の波高:同時に反応した相手の粒子の大きさも一緒に記録
測っていない時間:データを書き込んでいて数えられなかった時間も記録するので、正しい計数率を計算できます

🚀 はじめての測定

組み立て済みなので、USB-Cをつなぐだけで測り始められます。(参考:内部の組み立て手順は次のとおりです)
1. センサ子基板を付ける:USBを抜いた状態で、子基板のJ1を読み出し基板のJ2に差し、M2のスペーサとねじで固定します
2. シンチレータを密着させ、遮光する反射材で包み、黒いテープで光をふさいでSiPMにのせます。すき間があると蛍光灯の光でカウントが跳ね上がります
3. microSDを入れる(任意):FAT32のカードを側面の開口に。入れなくてもUSBとBluetoothには出ます
4. USB-Cでつなぐ:PCかモバイルバッテリーへ。起動のたびにA0を1秒見てしきい値を決めるので、その間は動かさずに待ちます
5. OLEDとLEDを見る:Cntが増え、LEDが光ってブザーが鳴れば動いています
6. コンソールで見る:Chrome/Edgeでコンソールを開いて「USBでつなぐ」。時間とともにヒストグラムが育ちます

📐 仕様

検出:シンチレータ+SiPM(onsemi MICROFC-60035-SMT、受光6×6mm、マイクロセル35µm)
SiPMバイアス:29.0V固定(USBの5Vから昇圧)
アンプ:×5.0〜×45(調整可)
波高:12bit(0〜4095)。トリガーの約60µs後に読み取り
デッドタイム:約0.1ms/イベント。ログに累積値を出力
マイコン:Arduino Nano ESP32(ESP32-S3、BLE)
環境センサ:BME280(温度・湿度・気圧)、2秒ごとに更新
表示・通知:OLED(128×64)、LED、ブザー、振動モーター(後付け、ドライバが必要)
記録・通信:USBシリアル(9600bps)、Bluetooth LE、microSD(FAT32)
外部入出力:OUT×1、IN×3(3.5mm 4極)
オシロスコープ:83.3kHz、1イベント161点
電源:USB-C 5V
大きさ:読み出し基板63×63mm、センサ子基板40×40mm、ケース86×75×61.4mm
プラスチックシンチレータ:5×5×1cm / CsIシンチレータ:1cm立方
※この装置は自然の宇宙線を数えるためのもので、線量計としての校正はしていません。

🔗 詳しい情報

構造・回路・測定例・ソフトウェアなどの詳しい解説は、こちらのページをご覧ください。
https://accel-kitchen.com/detector/